(2019年3月15日第13期全国人民代表大会第2回会議にて可決)
目録
第1章 総則
第2章 投資促進
第3章 投資保護
第4章 投資管理
第5章 法的責任
第6章 附則
第 1 条 さらなる対外開放の拡大、積極的な外商投資の促進、外商投資の合法的な権益の保護、外商投資管理の規範化、全面的開放の新たな枠組み形成の促進、社会主義市場経済の健全な発展を促すため、憲法に基づき、本法を制定する。
第 2 条 中華人民共和国国内(以下、「中国国内」という)における外商投資は、本法を適用する。
本法がいう外商投資とは、外国の自然人、企業もしくはその他の組織(以下、「外国投資家」という)が直接もしくは間接的に中国国内において行う投資活動を指し、次の各号に掲げるものを含む。
(1)外国投資家が単独もしくは他の投資家と共同で中国国内において外商投資企業を設立すること。
(2)外国投資家が中国国内企業の株式、出資持分、財産持分もしくはその他これらに類する権益を取得すること。
(3)外国投資家が単独もしくは他の投資家と共同で中国国内において新設プロジェクトに投資すること。
(4)法律、行政法規もしくは国務院が規定するその他の方法による投資。
本法がいう外商投資企業とは、全部もしくは一部について外国投資家が投資し、中国法に基づき中国国内において登記登録を経て設立された企業を指す。
第 3 条 国は対外開放という基本的国策を堅持し、外国投資家の法に基づいた中国国内での投資を奨励する。
国はレベルの高い投資の自由化.利便化政策を実行し、外商投資促進メカニズムを構築.整備し、安定し、透明で、予測可能および公平な競争が可能な市場環境を構築する。
第 4 条 国は外商投資に対し参入前内国民待遇およびネガティブリストによる管理制度を実行する。
前項にいう参入前内国民待遇とは、投資参入の段階において外国投資家およびそれの投資に対し自国の投資家およびそれの投資を下回らない待遇を与えることを指す。前項にいうネガティブリストとは、国が規定する特定分野において外商投資に対し実施する参入特別管理措置を指す。国はネガティブリスト対象外の外商投資に対し、内国民待遇を与える。
ネガティブリストは国務院が公布もしくは公布を批准する。
中華人民共和国が締結もしくは参加する国際条約、協定において外国投資家の参入待遇に対しさらなる優遇規定がある場合、関連規定に基づき執行することができる。
第 5 条 国は法に基づき外国投資家の中国国内における投資、収益およびその他の合法的な権益を保護する。
第 6 条 中国国内において投資活動を行う外国投資家、外商投資企業は、中国の法律.法規を遵守しなければならず、中国の国家安全に危害をもたらし、社会公共の利益を損なってはならない。
第 7 条 国務院商務主管部門、投資主管部門は職責の分担に基づき、外商投資の促進、保護および管理業務を展開する。国務院のその他の関係部門は各自の職責の範囲内で、外商投資の促進、保護および管理の関連業務を担当する。
県級以上の地方人民政府の関係部門は法律.法規および当該人民政府が確定した職責の分担に基づき、外商投資の促進、保護および管理業務を展開する。
第 8 条 外商投資企業の従業員は法に基づき労働組合を設立し、労働組合活動を展開し、従業員の合法的な権益を維持する。外商投資企業は当該企業の労働組合へ活動のため
に必要な条件を提供しなければならない。
第 9 条 外商投資企業は法に基づき平等に国による企業発展支援のための各種政策を適用する。
第 10 条 外商投資に関係する法律、法規、規則を制定する場合、適切な方法を講じて外商投資企業から意見および助言を聴取しなければならない。
外商投資に関係する規範性文書、裁判文書等は、法に基づき遅滞なく公布しなければならない。
第11条 国は健全な外商投資サービス体系を構築し、外国投資家および外商投資企業に対し法律.法規、政策措置、投資プロジェクト情報等の方面における問い合わせ対応およびサービスを提供する。
第 12 条 国は他の国および地域、国際組織と多者.二者間投資促進協力メカニズムを構築し、投資分野における国際交流と協力を強化する。
第 13 条 国は必要に基づき、特殊経済区域を設立もしくは一部の地域で外商投資に関する試験的政策.措置を実行し、外商投資を促進し、対外開放を拡大する。
第 14 条 国は国民経済および社会発展の必要に基づき、外国投資家が特定の業種、分野、地域において投資するよう奨励および誘導する。外国投資家、外商投資企業は法律、行政法規もしくは国務院の規定に基づき、優遇を享受することができる。
第 15 条 国は外商投資企業が法に基づき標準制定作業に平等に参加することを保障し、標準制定の情報公開および社会による監督を強化する。
国が制定した強制標準は、外商投資企業に平等に適用する。
第 16 条 国は外商投資企業が法に基づき公平な競争を通じて政府調達活動に参加することを保障する。政府調達においては、法に基づき外商投資企業が中国国内で生産する製品、提供するサービスに対し、平等に取り扱う。
第 17 条 外商投資企業は法に基づき株式、社債等の証券の公開発行およびその他の方法を通じて資金を調達することができる。
第 18 条 県級以上の地方人民政府は法律、行政法規、地方性法規の規定に基づき、法が定める権限内で外商投資促進および利便化政策措置を制定することができる。
第 19 条 各級人民政府およびその関係部門は便利、高効率、透明の原則に基づき、事務プロセスを簡素化し、事務効率を向上させ、行政事務サービスを最適化し、外商投資へのサービス水準を更に向上させなければならない。
関係主管部門は外商投資のガイドラインを作成.公布し、外国投資家および外商投資企業にサービスおよび利便性を提供しなければならない。
第 20 条 国は外国投資家の投資に対し、徴収を実行しない。
特殊な状況において、国は、公共の利益のために必要であるとき、法律の規定に基づき、外国投資家の投資に対し、徴収もしくは徴用を実行することができる。
徴収、徴用は、法が定めるプロセスに基づき行い、且つ遅滞なく公平で合理的な補償を与えなければならない。
第 21 条 外国投資家の中国国内における出資、利益、資本収益、資産処分所得、知的財産権の使用料、法に基づき取得した補償もしくは賠償、清算所得等は、法に基づき人民元もしくは外貨で自由に入金.対外送金することができる。
第 22 条 国は外国投資家および外商投資企業の知的財産権を保護し、知的財産権の権利者および関係権利者の合法的権益を保護する。知的財産権の侵害行為に対しては、法に基づき厳格に法的責任を追及する。
国は外商投資の過程において、自由意志の原則および商業規則に基づき技術協力を展開することを奨励する。技術協力の条件は、投資の各当事者が公平の原則を遵守し平等に協議して確定する。行政機関およびその職員は、行政手段を用いて技術移転を強要してはならない。
第 23 条 行政機関およびその職員は、職責を履行する過程において知り得た外国投資家、外商投資企業の業務秘密について、法に基づき機密保持を行わなければならず、漏洩もしくは違法に他者へ提供してはならない。
第 24 条 各級人民政府およびその関係部門が制定する外商投資に係る規範性文書は、法律.法規の規定に合致しなければならない。法律、行政法規の根拠がない場合、外商投資企業の合法的権益を縮小.毀損もしくはその義務を増加させてはならず、市場参入および退出の条件を設けてはならず、外商投資企業の正常な生産経営活動に干渉してはならない。
第 25 条 地方の各級人民政府およびその関係部門は、外国投資家および外商投資企業に対し、法に基づき打ち出した政策に係る約束事項および法に基づいて締結した各種契約を履行しなければならない。
国の利益および社会公共の利益により、政策に係る約束事項、契約の約定を変更する必要がある場合、法が定める権限およびプロセスに基づきこれを行い、且つ法に基づき外国投資家および外商投資企業がこれにより被った損失について補償を与えなければならない。
第 26 条 国は外商投資企業苦情処理業務メカニズムを構築し、外商投資企業もしくはその投資家から反映された問題を遅滞なく処理し、関連する政策措置を協調して整備する。
外商投資企業もしくはその投資家は、行政機関およびその職員の行政行為が自身の合法的権益を侵害すると認識する場合、外商投資企業苦情処理業務メカニズムを通じて協調.解決を申し立てることができる。
外商投資企業もしくはその投資家は、行政機関およびその職員の行政行為が自身の合法的権益を侵害すると認識する場合、前項の規定に基づき外商投資企業苦情処理業務メカニズムを通じて協調.解決を申し立てるほか、法に基づき行政不服申し立てを行い、行政訴訟を提起することができる。
第 27 条 外商投資企業は法に基づく商会、協会の設立およびこれらへの自由意志による参加が可能である。商会、協会は、法律.法規および定款の規定に基づき関連の活動を展開し、会員の合法的権益を保護する。
第 28 条 外商投資参入ネガティブリストに規定する投資禁止の分野について、外国投資家
は投資してはならない。
外商投資参入ネガティブリストに規定する投資制限の分野について、外国投資家が投資する際はネガティブリストに規定する条件に合致していなければならない。
外商投資参入ネガティブリスト以外の分野については、内資外資一致の原則に基づき管理を実施する。
第 29 条 外商投資が投資プロジェクトの認可、届出の手続きを必要とする場合、国の関連規定に基づき執行する。
第 30 条 外国投資家は法に基づき許可の取得を必要とする業種および分野に対し投資を行う場合、法に基づき関連許可手続を行わなければならない。
関係主管部門は、内資と同一の条件およびプロセスに基づき、外国投資家の許可申請を審査しなければならない。法律、行政法規に別途規定がある場合、この限りではない。
第 31 条 外商投資企業の組織形態、機関構成およびその活動の準則には、『中華人民共和国会社法』、『中華人民共和国パートナーシップ企業法』等の法律の規定を適用する。
第 32 条 外商投資企業は生産経営活動を展開する場合、法律、行政法規の労働保護、社会保険に関する規定を遵守しなければならず、法律、行政法規および国の関連規定に基づき、納税、会計、外貨等の事項を取扱い、且つ、関係主管部門が法に基づき実施する監督.検査を受けなければならない。
第 33 条 外国投資家は中国国内企業に対し合併.買収を実施もしくはその他の方法により事業者結合に参加する場合、『中華人民共和国独占禁止法』の規定に基づき、事業者結合審査を受けなければならない。
第 34 条 国は外商投資情報報告制度を構築する。外国投資家もしくは外商投資企業は、企業登録システムおよび企業信用情報開示システムを通じて、商務主管部門に投資情報を報告.送付しなければならない。
外商投資情報報告の内容および範囲は、確かに必要性があるとの原則に基づきこれを確定する。部門間の情報共有を通じて取得可能な投資情報については、再び報告.送付を要求してはならない。
第 35 条 国は外商投資安全審査制度を構築し、国家安全に影響を与える、もしくは影響を与え得る外商投資に対し安全審査を行う。
法に基づき下した安全審査決定は、最終決定とする。
第 36 条 外国投資家が外商投資参入ネガティブリストに規定する投資禁止分野に投資した場合、関係主管部門が投資活動を停止し、期限付きの持分、資産の処分もしくはその他必要な措置を講じ投資実施前の状態に回復するよう命ずる。違法所得がある場合、これを没収する。
外国投資家の投資活動が外商投資参入ネガティブリストに規定する制限的参入特別管理措置に違反した場合、関係主管部門が期限付きで是正し、必要な措置を講じて参入特別管理措置の要求を満たすよう命ずる。期限内に是正がなされない場合、前項の規定に基づき処理する。
外国投資家の投資活動が外商投資参入ネガティブリストの規定に違反した場合、前2項の規定に基づき処理するほか、法に基づき相応の法的責任を負わなければならない。
第 37 条 外国投資家、外商投資企業が本法の規定に違反して、外商投資情報報告制度の要求に基づき投資情報を報告.送付しなかった場合、商務主管部門が期限付きで是正を命ずる。期限を超えても是正しない場合、10万人民元以上50万人民元以下の罰金を科す。
第 38 条 外国投資家、外商投資企業の法律、法規に違反する行為に対し、関係部門は法に基づき調査して処分を行い、且つ国の関連規定に基づき信用情報システムに記録する。
第 39 条 行政機関の職員が外商投資の促進、保護および管理業務において職権を濫用し、職務を怠慢し、私利を図った場合、もしくは職責を履行する過程において知り得た業務秘密を漏洩、違法に他者へ提供した場合、法に基づき処分を科す。犯罪を構成する場合、法に基づき刑事責任を追及する。
第 40 条 いかなる国もしくは地域が投資の面において中華人民共和国に対し差別的な禁止、制限もしくはその他これらに類する措置を講じた場合、中華人民共和国は、実際の状況に基づき当該国もしくは当該地域に対し相応の措置を講ずることができる。
第 41 条 外国投資家が中国国内において銀行業、証券業、保険業等の金融業界に投資、もしくは証券市場、外貨市場等の金融市場において投資を行う際の管理について、国に別途規定がある場合、それに従う。
第 42 条 本法は、2020年1月1日より施行する。『中華人民共和国中外合弁経営企業法』、『中華人民共和国外資企業法』、『中華人民共和国中外合作経営企業法』は、同時に廃止される。
本法施行前に『中華人民共和国中外合弁経営企業法』、『中華人民共和国外資企業法』、『中華人民共和国中外合作経営企業法』に基づき設立された外商投資企業は、本法施行後五年以内においては、従来の企業組織形態等を継続して保留することができる。具体的な実施規則は、国務院が規定する。