中国山東省威海市は、省内の3月上旬以降の新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ(2022年3月17日記事、2022年4月11日記事参照)、交通規制を強化している。同省内で新型コロナウイルス感染が拡大した3月4日から4月14日までの同市内の累計感染者数は62人(山東省内1,414人、無症状感染者数は含まず)で、青島市(897人)などと比較して多くはない。しかし、威海市は4月10日の新型コロナウイルス防疫に関する記者会見で、感染抑制のため厳格な交通規制を行っていることを明らかにした。主な内容は以下のとおり。
- 高速鉄道(中国語の「動車」を含む)は1日20便余りに間隔を調整の上で運行している。山東省内の運行を主として、省外と運行する列車数を減らしており、北京市、上海市方面への列車は引き続き運行を停止している(注1)。
- 空路は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、4月5日から全ての威海発着フライトを停止している。フライトについては、威海市内の封鎖措置解除などに合わせて徐々に再開する予定(注2)。
- 水路は3月9日から威海市~大連市(遼寧省)の旅客船の運航を暫定的に停止している。
交通面以外でも防疫規制を強めている。現在、威海市内に入るためには、事前に「愛山東・威海」アプリの新型コロナウイルス対策自主報告システム上で、到着3日前に目的地の社区(注3)に個人情報を登録する必要がある。また、威海市に到着後は48時間以内のPCR検査陰性証明をした上で、体温測定、健康コードと行程コードのチェック、指定場所でPCR検査および抗原検査を1回ずつ受けることが必要となる。その上で市内目的地の防疫措置に基づく対応が求められる。
(注1)筆者が現地旅行会社予約アプリで確認したところ、4月15日時点で「威海⇔上海」の列車は往路・復路ともに直行なし。「威海⇔北京」は往路が1日に1便程度運行している(復路は直行なし)。
(注2)著者が現地旅行会社予約アプリで確認したところ、4月15日時点で「威海⇔大連」のフライトは1日1便程度運航している(その他の都市間は運航なし)。
(注3)中国民政部は「一定地域の範囲内に住む人々によって構成する社会生活の共同体」と定義。都市部の最も基礎的な行政区画単位。
(西島和希)
(日本貿易振興機構により)